Saturday, June 24, 2006

こんな罵倒に耐えられるか

現在の気分:★★★★★
現在の音楽:New Order<waiting・・・>Krafty
最近読んでいる本:「私のイギリス あなたのニッポン」高尾慶子
今日のニュース(Yahoo!):「悪魔の詩」殺害、時効迫る


最近読んだ本(↑)の中で、印象的な一節があった。
在英暦ウン十年の筆者が外国人差別について書いた文。こんな感じの文章
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外国人なのだから差別や嫌がらせやらがあって当たり前。自由意志でこの国に来た以上は、それは覚悟しなければならないし、それが厭なら日本に帰るしかない。
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 一年前に取得した在留ビザ更新のため、朝一番に市役所に行ったところ、すでに5組くらいの外国人が並んで待っていた。並ぶこと30分弱。我々の番が回ってきたので、私とアレックスは事務所に入り、テーブルに座った。
2人の係官のうち一人は顔色の悪い不機嫌そうなオバちゃんで、もう一人は30代前半のお兄さんだった。

 我々はおばちゃん係官の席につき、どんな書類が必要か一通り丁寧に説明してもらった。私は自分のことなのに、ぼんやり二人の係官の雑然とならんだ私物や写真を眺めて、その人達の性格やら仕事ぶりを想像していた。となりのお兄さん係官は、元々温厚で丁寧なタイプそうだったけど、要領を得ない言い訳をしつづけているトルコ人のおばちゃんを持て余して、キレかけていた。
 その日の我々の面談は10分程、必要書類の説明をうけてすんなり終わった。オバちゃん係官は「オーストリア人の旦那さんと日本人の奥さん」という<<なんの問題も無さそうな夫婦>>をスムーズに機嫌良くさばいた。

 3日後、全ての書類を揃えて、再び市役所にやってきた。私たちの次にトルコ人らしい家族が待っている。お父さんとお母さん、中高生くらいの3人の娘達。母親も娘達もムスリムのするスカーフをきちんと巻いていて、暑いのに肌をほとんど見せない服装をしている。
 事務室に入って、今度はお兄さん係官の席についた。お兄さんが提出書類を確認している間に、さっきのトルコ人のお父さんが、オバちゃん係官の席に着いた。
 私とアレックスが、お兄さん係官の話をウンウンと聞いている間、隣の席からオバちゃん係官の怒鳴り声が聞こえてきた。例のトルコ人のお父さんは、ドイツ語がすごく上手という訳ではないようで、聞き返したり要領を得ないやりとりが係官の気に障ったらしい。

おばはん係官:「・・・・家族を中に呼びなさいって言ってるのよ!!あなたの家族!」「それから、あなたの家族で、あなたよりマシなドイツ語話す人いるでしょ?!その子呼んで!!」

「それにね、あなた(お父さん)オーストリアのパスポートもってるんでしょ?ってことは、あなた仮にもオーストリア人なのに、そんな程度のドイツ語しか喋れないなんて、恥ずかしいですよっ。これからはそうはいかないからね。ドイツ語検定が義務づけになるんですから」云々。。。。
 


 あまりの驚愕に私もアレックスも言葉を失い、顔を見合わせた。心無しか、お兄さん係官も私たちが隣席の様子に驚愕しているのに気づいて、動揺している。それは、彼が私たちに接する態度を益々丁重にしたことからも明らかだった。

 オーストリアで生活して、ドイツ語を習得することに苦心している私には、まるで自分が罵倒されているような気がして、今でも彼女が吐いた言葉や声音を鮮明に思いだせる。

 私はあのオバちゃん係官だけが悪いとは思わない。たしかにココに何十年と住んで、仕事をして、国籍までもっているのに、ドイツ語がおぼつかないというのはマズい。


 しかし、ここまで面罵する権利があのおばはん係官にあるのだろうか?


絶対、無い(怒)
彼女の言葉や態度の端々から、自分を苛立たせる外国人を心の底から軽蔑しているのが分かる。ましてドイツ語が話せない外国人ときたら、論外なのだ。
しかしながら、ああいう人間が現実に存在するということを知った今、あんな人間に罵倒されないように、いや、彼女の顔に唾液を飛ばしながら罵倒し返せるくらいに努力するしか無い。

そして、改めて、「現地人の夫」と「日本国パスポート」に守られてのほほんと暮らしている境遇を省みることになった。自分は「移民」ではない、という思いがどこかにあるのだ。この国における「移民」という言葉のもつ悲壮感を、私が彼らの100分の1程も実感として味わったことが無かったことに気づいた。

5 comments:

Kaolu said...

日本のパスポートに守られているということは、私も外国人としてドイツに住むようになってひしひし感じてます。
そして、生き延びる為、又は自国では得られない「良い生活」を手に入れるために国境を越える人々とは、同じ国に住んでいるのに住んでいる世界が違うようにも感じてしまいます。

でも、外国人というだけで差別される理不尽さをそのまま受け入れていい時代は終わったと思います。世の中更なるグローバル化で人の移動が激しくなる中、時代についていけない人・国は人工的に国境を高くしようとしていますが、それにも限度があります。
外国人だからといって小さくならず、こういうおばちゃんに負けじと立ち向かっていこうというwakakoさんの意気込み、応援します!!

Wakako said...

うう Kaoluさん、ありがとうございます。最近ドイツ語を学ぶにも、ポジティブ(友達100人作るんだ的)よりも、こういうネガティブ経験に基づく方が強烈なモチベーションになってるような気がします。かなしいことに。

Marinka_ilmondo said...

私も日本のパスポートの力の偉大さに、感謝すること多々です…。いろいろな国へ行くにしても日本のパスポートだと非常に優遇されていると感じます。
もちろん、逆の場合もありますが…。
日本で暮らす外国人の人達も、同じようなあるいは更にひどい「いわれなき差別」と戦っているのだと思うと、いろいろ考え込んでしまう今日この頃です。

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